商標「くるん」は化粧品の品質表示か

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本件(異議2014-900138 )は、「くるん」の標準文字からなる本件商標(登録第5648390号)が指定商品「化粧品、せっけん類、香料」の品質表示に当たるとして商標登録の取り消しを求めた登録異議の申立て事件であり、登録を維持する旨の決定がなされています。

photo credit: …love Maegan via photopin cc

1.本件商標

商  標:標準文字「くるん」
指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,香料」
登録日 :平成26年2月7日
登録番号:第5648390号

2.申立ての理由

本件商標は、これをその指定商品に使用するときは「髪やまつ毛をくるんとカールした状態にするための商品」を直感させ、単に商品の用途、効能、品質を表す標章にすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

また、本件商標を、「髪やまつ毛をくるんとカールした状態にするための商品」以外の商品に使用するときは、あたかも前述の商品であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれのあることは明白であるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

3.決定の理由

甲第2号証~甲第16号証には、例えば、「くるんと巻き髪」(甲3)、「くるんとメリハリウェーブ処方でウェーブスタイルが一日中持続します。」(甲4)、「くるんとしたまつ毛にアップし、キープします。」(甲10)のような記載がなされている。

しかし、これらの「くるん」の文字は、甲第3号証においては、「巻き髪」の文字を補って髪の巻いている状態を強調する、甲第4号証においては、「メリハリウェーブ」の文字を補ってメリハリの効いたウェーブを強調する、甲第10号証においては、「まつ毛にアップ」の語を補ってまつげが上向きに巻いている状態を強調するというように使用されているものであって、「くるん」の文字のみによって商品の品質等を表すのでなく、むしろ、商品の品質を表す他の文字を補って、その意味を強調するために使用されていると見るのが相当である。

そうすると、本件商標は、何らかの巻いた状態を間接的に連想させることはあるとしても、その構成文字のみをもって、申立人が主張するような「髪やまつ毛をくるんとカールした状態にするための商品」の意味合いを直ちに認識させるということはできないものである。

4.検討

擬態語が品質表示に当たるか否かの判断は実務上微妙なケースがあるため、実務の参考になりそうな事件です。

「くるん」が、化粧品等の効能としての「髪」や「まつ毛」の状態を直ちに認識させるものではないという判断は、正直言って微妙です。どちらの結論であっても説明できるという程度の理由であって、どちらの結論にするのかは審判官次第でしょう。

本件は、圧倒的に「維持」の決定がなされる異議申立て事件であることも忘れてはいけません。特許庁の年次統計によれば、2013年の異議申立て事件は、取消決定が42件に対し、維持決定は296件であり、約9割の事件で維持決定がなされています。このため、判断が微妙であるなら「維持決定」になるのも仕方ありません。

結論自体が参考になるというよりは、「くるん」が「巻き」「ウェーブ」又は「アップ」を補って、その意味を強調するためのものであるという説明(主張)は、今後の実務で使える場面があるかもしれません。

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