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ブランド名をどう決めるべき?~商標法の観点から解説~

 

                                            記事公開日:2025年5月23日

ブランド名をどう決めるべき?~商標法の観点から解説~

今回はブランド名・商品名・サービス名・会社名の決め方を商標法の観点から解説します。

※あくまで商標法に基づくお話ですので、ネーミング方針そのものはブランドイメージ等を踏まえてお決めください。

 

0.基本方針について

基本的には、商標登録が出来るネーミングをブランド名にするのが良いでしょう。

商標法上で定められる登録できない商標というのは、やはりブランド名として何か問題を抱えているものです。

そこで、法律上の不登録事由となっているうちの、特に重要な二つの拒絶理由を以下にてご説明致します。

 

1. 識別力を有すること

商標法では、商標に蓄積された業務上の信用を保護対象としています。

したがって、自社の商品と他人の商品とを識別できないような商標には信用が蓄積されず、法的保護が認められません。このため、「識別力」を有することが登録要件となります。

識別力を欠く具体例

  • 商品・役務の普通名称
    ・商品「サニーレタス」に対して、商標「サニーレタス」
    ・商品「電子計算機」に対して、商標「コンピュータ」
  • 慣用商標
    ・商品「清酒」に対して、商標「正宗」
    ・役務「宿泊施設の提供」に対して、商標「観光ホテル」
  • 特徴・品質等の表示
    ・役務「飲食物の提供」に対して、「イタリアンレストラン」
    ・商品「チョコレート」に対して、「ハイカカオ」
  • ありふれた氏名・名称
    ・「鈴木商会」「山本製作所」
  • 極めて簡単・ありふれた標章
    ・数字のみ
    ・アルファベット1〜2文字
  • その他
    ・「平成」
    ・商品「生地」に対して、「メートル」

識別力は基本的に指定商品・役務との関係で判断されます。

たとえば、商品「りんご」に「Apple」は識別力がありませんが、商品「スマートフォン」に「Apple」は識別力があるとされます。

識別力の判断が難しく、熟練の審査官によって判断が分かれることもあり、せっかく決めたブランド名が登録できなければ、独占使用ができず、他社にも使われてしまいます。

Point!
宣伝広告などしたあとに商標登録不可となると、せっかくの努力が水の泡に帰することになります。無駄にしないためにも、ブランド名が決まり次第の相談をおすすめします。

 

2. 他人の商標と抵触しないこと

商標法では、商標が類似しており、なおかつ商品・役務も類似している場合にのみ効力が及びます。

つまり、商標が似ていても、商品・サービスが異なれば法的に問題ない場合があります。

実例

  • アイスクリームの「スーパーカップ」とカップラーメンの「スーパーカップ」
  • 車の「JAGUAR」とギターの「JAGUAR」

いずれも商品が非類似であるため、抵触しないと判断されます。

したがって、まずはそのブランドでどのようなビジネスを展開するかを明確にする必要があります。

次に、決まったブランド名と類似する商標がないかを調査します。

商標の類否の判断基準は、外観・観念・称呼の総合判断とされていますが、実務では称呼(読み方)が重視される傾向があります。

商標類否の判断は専門家に依頼を
実務的な傾向や判断の難しさがあるため、専門家の判断を仰ぐのが安全です。

他人の商標と抵触することを理由に拒絶された場合というのは、すなわち商標権侵害の可能性が高い状態です。

このような場合には、ブランド名の変更も視野に入れる必要があります。

ブランドを使い始めた後で変更するのは困難を伴い、お客様の信頼を損なうリスクもあります。

商標登録は使用開始前に!
使用開始前に商標登録しておくことで、こうしたリスクを回避できます。
弊所にご相談頂くお客様は、実際に商標の使用を開始してからのケースも多いです。

商標登録することを検討し始めたら、躊躇せずに早めに弁理士に相談することをお勧めします。

 

商標登録やブランド名についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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