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知財担当者への手引き1 ~商標・侵害調査編~

 

                                            記事公開日:2023年6月12日

「知財部」とは、知的財産権の管理業務を行う部門です。知財部がある会社では、商標権の管理は知財部が行うことが多いです。

しかしながら、知財部がある会社は大手メーカーに限られます。弊所でも、知財部のご担当者様からのお問い合わせと比べると、他の業務と兼任されている総務部・人事部の方などからご連絡を頂くことが圧倒的に多いのが実情です。

 

このため、知的財産権の適切な管理方法を把握しておらず、知財の活用に不安を抱えているご担当者様は多い印象を受けています。実際に、商標関係の業務を任された方の中には、「知財担当者って何をすればいいの?」と疑問を持っている方も多いと思います。
そこで、本稿では、知財担当者のご活躍の参考になるように、商標権の管理方法をご紹介致します。

1. はじめに

商標権の管理はおおまかに以下の二つに分けられます

 

・他社の侵害調査

・登録済みの商標権の維持・管理 (知財担当者への手引き2 をご覧ください。)

 

本稿では「他社の侵害調査」に絞って情報をお届けします。

2. 他社の侵害調査について

他社が自社の商標権と抵触している商標を使用している場合、お客様が誤って商品(サービス)を購入する可能性があります。このため、自社の利益の機会損失に繋がります。
他社が粗悪な模倣品を展開している場合には、自社のブランドイメージが毀損されるおそれもあります。このため、他者の侵害調査を行うことは、自社の財産を守るために極めて重要といえます。

 

肝心な調査方法ですが、インターネットが普及している現代においてはGoogle検索を行うことが最もコストパフォーマンスが良いと思われます。Google検索で引っかからないような使用であれば、侵害されていてもダメージは大きくないと思います。
調査方法に決まりはないですが、自社ブランドと関係するキーワードをいろんなパターンで検索してください。

例:「東京ABC商社」「東京ABC」「ABC商社」「ABC 商社」

調査結果のノイズが多い場合には、ダブルクォーテーション(“”)を使用して完全一致検索で絞ることが出来ます。

例:「ABC 商社」で検索した際に、「ABC」の名前がついていないウェブサイト(例えば、ACB製菓)が多数引っかって適切な検索結果が得られない場合
→「”ABC” 商社」にすることで「ABC」のキーワードが含まれるウェブサイトのみをピックアップすることが出来ます。

Google検索はいろんな条件を付けることも出来るので、必要に応じて使い分けて下さい。

 

調査の頻度については、気が付いた時点・手が空いている時に随時調査をしてみるという方法も良いですが、忙しいと忘れてしまうことも多いと思います。このため、3ヶ月に1回・半年に1回のようにあらかじめ期間を定めておくことをお勧め致します。主要ブランドは1か月に1回のように、頻度を高めることも有効です。

 

その他にも、各SNSでキーワード検索することも効果があると思われます。

3. 侵害と思われる情報を発見した場合

調査の結果、残念なことに類似するかもしれないブランド名を発見された場合、対応を検討する必要があります。
しかしながら、勢いに任せて警告書を送ったりすることは必ず控えて下さい。
商標権に関する争いは、最初の一手を間違えると勝てる争いも勝てなくなることがあります。現状を分析し、相手からの反論(抗弁)・カウンターに耐えられるように入念に準備をする必要があります。

(A)商標権の範囲の確認

まずは、相手方の使用行為が、本当に自社の商標権を侵害する行為か否かを検討する必要があります。
商標権の効力は、登録商標と同一・類似の商標であり、商品(サービス)が同一・類似するものに使用する行為にまで及びます。
逆にいえば、商標が類似していない場合や、商品・サービスが類似していない場合には効力は及びません。

 

例えば、「ABCD」というブランドを「服」について登録している場合に、他社が「ABCD」を「飲食店」に使用したとしても、商品・サービスが類似していないため商標権を侵害は成立しません。

 

このため、「相手方の商標の使用行為」が「自社の商標権の効力の範囲に含まれるか否か」をきちんと検討する必要があります。

(B)商標権の有効性の確認

権利行使をする際に、相手方から想定されるカウンターを事前に検討しておく必要があります。注意すべき点はいくつかありますが、特に気を付けて頂きたいのは不使用取消審判によるカウンターです。最悪の場合には、自社の権利を失ってしまいます。
不使用取消審判とは、3年間継続して登録商標を使用していないときに誰でもその登録を取り消すことが出来る制度です。このため、警告書を送ったときに、実際に登録商標を使用していない場合、不使用取消審判を請求されてしまうと商標登録が取消されます。

 

 

その他にも注意すべき点はたくさんあります。また、相手方との駆け引きにおいては、実務経験豊富な弁理士などの専門家に依頼して進める方が有利に運べることが多いです。
このため、自社の商標権が侵害されているかもしれないと思った場合には、弁理士と相談しながら対応を準備することをお勧め致します。もちろん、弊所でもご相談を承ることは可能ですので、お気兼ねなくお問い合わせ下さい。

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