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マドプロ出願とは?~海外出願の手間とコストを削減~

 

                                            記事公開日:2025年5月23日

マドプロ出願とは?

 マドプロ出願とは、マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録出願のことです。商標は国ごとに権利が発生する属地主義という考え方を採用しています。

 このため、通常であれば、国ごとに出願手続きを行う必要があり、国内専門家と外国専門家の費用が国ごとに発生します。

 しかしながら、マドプロ出願を利用することで、一つの願書を日本の特許庁に提出することで、複数国に同時に出願することが可能になります。つまり、各国の外国専門家の費用が不要になり、費用の削減と手続き負荷の軽減が図れます。

 また、更新も同様に一括で手続きが完了するため、管理の負荷の軽減も可能です。

 

 なお、マドプロ出願はあくまで出願を一括に出来るにすぎず、各国での審査はそれぞれの国で行われます。つまり、マドプロでの登録が完了したからといって、指定国すべてに権利が発生しているわけではない点にご注意下さい。

マドプロ出願をするための条件

 マドプロ出願を行うためには、まずは日本での商標登録出願または登録(いわゆる「基礎出願」「基礎登録」)が必要です。これは、マドリッド協定議定書のルールにより、出願人が属する国(つまり日本)において先に手続を行うことが前提となっています。

POINT:基礎出願の段階で戦略的検討を

・英語表記で日本の商標登録をしておけば、そのままマドプロ出願の基礎に使いやすい。

・指定商品・役務は、包括的な表現を含めつつ、積極表示も記載しておく方がマドプロ出願に有利。

 なお、基礎出願が拒絶・無効になると、国際登録も取り消される「セントラルアタック」のリスクがあります。
 このため、国内で登録査定を受領した後にマドプロ出願を行うのが一般的です。

使用証拠の提出が必要な国への出願は要注意

 マドプロ出願では、出願と登録の手続きは一括でできますが、審査や維持の要件は各国の商標法に従う必要があります。

 例えば、アメリカやフィリピンなど一部の国では、登録後一定期間内に商標の使用証拠を提出する義務があります。使用実績を示すことができなければ、登録が取り消されます。

 使用の予定や時期が未定な場合は、当該国への出願を見送る判断も重要です。

後から国を追加することも可能

 マドプロ出願では、出願後に新たな国を追加する「事後指定」が可能です。

事後指定のメリット

  • 事業フェーズに応じた柔軟な国追加が可能
  • 登録番号は維持されたまま対象国が増やせる

指定商品・役務の記載に関する注意点

 マドプロ出願では、指定商品・役務の記載も各国の審査基準に対応する必要があります。

 日本で認められている表現でも、他国では「不明確」と判断されることがあります。

 各国は「ニース協定」という国際分類に基づいて商品・役務の分類を採用していますが、実際には国ごとの独自のローカルルールも存在します。たとえば、ある国では具体的な記載を要求し、別の国では広範な表現を認める場合があります。

 特殊な商品やサービスを記載する場合には、そもそもその商品がその国でどのように解釈されるのかが不明確なこともあります。そのようなケースでは、マドプロ出願を無理に使わず、現地代理人の見解を仰いだ上で個別に出願するという方法も検討する価値があります。

 

助成金について

 外国出願費用について、返済不要の助成金を申請できる場合があります。

 

 国際出願をお考えの方は、まずはお気軽にご相談下さい。 

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