商標登録ホットラインオフィシャルサイト

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大槻国際特許事務所

中国

中国で商標登録を行う場合の実務的な留意点についてご説明しています。

当該ページは2022年10月に作成したものです。

概要

●概算費用
調査費用 約6万円
出願費用 約18万円
登録費用 約3万円
※1 1区分内で9以内の商品又はサービスを指定した場合の概算費用です。
※2 現地代理人の費用は、代理人毎に異なります。上記費用は弊所の提携事務所の費用を元に算出したものです。また、現地代理人の費用は作業内容や検討時間によって変動します。さらに、為替レートによっても変動します。このため、上記の費用は概算であることをご了承下さい。詳細はお問い合わせ下さい。
●期間
調査期間 10日~2週間
審査期間 約4ヶ月~8ヶ月
存続期間 登録日から10年間
※1 調査期間は依頼する現地代理人によって異なります。
※2 審査期間は特許庁の審査状況によって変動しますので、上記期間は参考情報としてご確認下さい。
●マドプロ出願

マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録出願(マドプロ出願)が可能です。

 

 

1.出願

  • 委任状を提出する必要があります。
    出願人の署名又は捺印が必要です。
    公証・認証は不要です。
  • 指定商品・役務について
    ニース協定に基づく国際分類表を採用しています。
    多区分出願が可能です。
    小売役務の指定は認められていません。
    1区分内での指定商品・役務の数が10を超える場合、費用が加算されます。
  • 出願人の名称及び住所について
    出願人の名称及び住所は英語及び中国語で表記する必要があります。

2. 審査

  • 平均審査期間は約4か月~8か月程度です。※
    出願書類を受理してから9か月以内に審査を終了しなければならないとされています。
    なお、早期審査制度はありません。
  • 拒絶理由通知への応答期限は15日と短く設定されています。
  • 相対的拒絶理由は審査の対象です。
  • 部分拒絶制度を採用しています。
    出願した商品・役務のうち一部のみに拒絶理由があると判断された際に、拒絶理由通知に応答せずに放置した場合、拒絶理由がない商品・役務については登録が認められます。
  • 同意書制度が導入されています。
    他人の商標と類似することが理由で拒絶理由通知がされた際に、権利者から同意書を発行して貰うことで審査を有利に進めることが出来ます。
  • ディスクレーム制度が導入されています。
    出願商標の一部に識別力のない部分がある場合に、当該部分についてのディスクレーム(権利不要求)を行うことが出来ます。
    ディスクレームの要否は審査官により審査されます。

3. 公告

審査官が出願商標の登録を認めても良いと判断した場合には、出願公告がされます。
出願公告がされた後、3ヶ月間、第三者からの異議申立を受け付けています。
公告期間の経過後、異議申立がない場合及び異議申立が不成立の場合に、登録を受けることが出来ます。

4. 登録後

存続期間は登録日から10年です。
存続期間満了日の12ヶ月前から更新手続きが可能です。
存続期間満了後、6ヶ月以内であれば追加の手数料を支払うことで更新することが出来ます。
 
なお、マドプロ出願の場合は、原則として登録証が発行されません。
ただし、登録証明書の発行を中国特許庁に求めることが出来ます。

5. 審判

  • 不使用取消審判制度があります。
    登録商標が3年以上継続して使用されていない場合に、登録の取り消しを請求することが出来ます。
    不使用取消審判は利害関係人のみではなく、誰でも請求することが可能です。
  • 無効審判制度があります。

6. その他

  • 出願人の名称について中国語表記を用意していない場合、出願人の名称に含まれる文字の意味又は読み方を現地代理人に伝えた上で、対応する中国語の当て字を無料にてご提案致します。
  • 中国では小売役務が採用されていません。実務上は、「取り扱いのある各商品」と第35類の「販売促進のための企画および実行の代理、他人の事業のために行う物品の調達およびサービスの手配、輸出入に関する事務の代理または代行、広告宣伝」などを指定して登録することが多いです。
  • 中国で商標登録した場合、台湾、香港及びマカオについては商標権の効力が及びません。
    このため、台湾、香港及びマカオについて商標権を取得するためには、中国における商標登録手続とは別に、台湾、香港及びマカオそれぞれに商標登録出願を行う必要があります。
  • 2014年より多区分出願が採用されましたが、多区分出願のデメリットが大きいため、実務上では単区分出願がされることが一般的です。
  • 中国における商標の審査においては、カタカナ及び平仮名は文字ではなく図形として認識されます。中国の一般的な消費者も、カタカナ及び平仮名を文字ではなく図形として認識すると考えられています。
    中国の商標審査基準では、原則として、「漢字」「平仮名」「カタカナ」「アルファベット表記」及び「ピンイン<中国語の発音表記>」は、相互に類似しないと考えられています。このため、まずは、中国国内において実際に使用する予定の会社名又はブランド名の表記を優先的に商標登録することをお勧め致します。使用しない予定の表記については、模倣品対策としては登録することをお勧め致しますが、費用対効果を考慮して登録されるか否かをご検討下さい。
  • 会社名について、商標登録を受けるためには、既に同一又は類似する商標が出願又は登録されていない等の一般的な登録を受けるための条件に加えて、以下の2つの条件を満たすことが必要です。
     
    1.出願人の名称と登録を希望する会社名の商標が同一であること
    2.登録を希望する会社名と同一の名称の会社が中国において存在しないこと。
      中国で既に同一の名称の会社が存在している場合には、以下の(1)及び(2)の条件を満たさな
      ければ中国において商標登録を受けることはできません。
     
     (1)既に存在している同一の名称の会社よりも自社が中国において早く設立されたこと
     (2)既に存在している同一の名称の会社が中国において既に有名になっていないこと
     
    有名の度合いは審査官の主観によりますが、少なくとも出願人の所在地で有名であることが立証された場合、登録することはできません。仮に、登録されたとしても第三者により異議申立て又は無効審判を請求された場合、登録が取り消されてしまいます。
  • 商標権は、他人が登録した商標と同一又は類似する商標を、指定した商品又は役務と同一又は類似する商品又は役務について使用した場合にその使用をやめさせられる権利です。そして、「株式会社」又は「有限公司」の有無のみが相違する商標は類似する可能性が高いケースに該当します。
    つまり、会社名の略称を登録した場合、他人が後から会社名の略称に「株式会社」又は「有限公司」を組み合わせた商標を出願しても、かなりの高い確率でその登録を排除することが可能だと思われます。
  • 商標権者又は商標権者から使用許諾(ライセンス)を受けた者が、登録商標を3年以上中国国内で使用していなければ、誰でもその商標登録を取り消すことを請求できる手続(不使用取消審判)があります。
    そして、登録した商標が会社名の略称だった場合、会社名の略称に「株式会社」を組み合わせた商標を中国において使用していても登録商標の使用とは認められず、不使用取消審判が請求された場合、登録を取り消されるリスクがあります。
    したがって、会社名の略称を使用する予定がなく、会社名の略称に「株式会社」を組み合わせた商標しか使用しない場合には、会社名の略称に「株式会社」を組み合わせた商標を商標登録することをお勧め致します。一方、会社名の略称を使用する予定がある場合には、会社名の略称を商標登録することをお勧め致します。
  • 先登録対策
    中国で先に登録された商標への対策としては、以下の3つの対策が考えられます。
     
    1.不使用取消審判の請求
    商標権者又は商標権者からライセンスを受けた者が、登録商標を中国国内で継続して3年以上使用していなければ、その商標登録を取り消すことができる手続です。当該手続にかかる費用は、約20万円~、期間は約1年半から2年半程度(20~30カ月)です。
     
    2.無効審判の請求
    登録された商標が登録条件に違反して登録された場合に、その登録を無効にすることができる手続きです。例えば、以下の(1)~(5)のいずれかの条件を満たした場合に無効にできる可能性があります。
    当該手続にかかる費用は、約20万円~、期間は約1年半から2年程度です。また、条件を満たしそうかどうかについて現地代理人からおおまかな回答をもらうまでは、無料にて対応できると思われます。
     
     (1)登録された商標の出願日より前に、自社の商標が中国本土で著名になっていたこと
     (2)登録された商標の出願日より前に、自社の商標が中国本土で使用され、ある程度周知(有名)
       になっていたこと、及び、不正な手段で登録されたこと
     (3)登録された商標の権利者が自社の代理人又は代表者であった等の取引関係があったこと
     (4)自社の会社名であって一定の条件を満たした場合(詳細は「会社名の商標登録について」を
       参照)
     (5)登録された商標が、自社所有の著作権により保護されるマーク又は特徴的なロゴである場合
     
    3.譲渡交渉
    商標権者から商標権の譲渡を受ける交渉を行うことができます。譲渡交渉が成立した場合、相手方と譲渡契約を結び、中国の特許庁へ商標権の譲渡手続を届け出る必要があります。商標権者との譲渡交渉代行をご依頼頂く場合の費用は、約50万円~です。交渉で相手が提示した商標権の対価については別途、必要です。譲渡手続にかかる費用は、上記費用に加えて別途約10万円が必要です。
     
    日本企業であるとわかると、相手方が高額な対価を請求してくる場合があるため、中国現地代理人の傘下の企業名で交渉を行うことも承っております。この場合、交渉が成立した場合、傘下の企業から貴社へ譲渡手続を行う必要があるため、譲渡手続費用がもう1件分(約10万円)必要です。
     
    中国で商標権の譲渡交渉において相手側が要求してくる費用の相場はあってないようなものです。一例として、弊所パートナーの中国代理人が経験した範囲をご紹介すれば、一番安かったケースが15万円、高かったケースが6500万円でした。

 

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な事案に関する助言を想定したものではありません。
本記事は、作成時点の情報に基づくものであり、最新の情報ではない場合があります。
また、本記事によって生じた損害について一切の責を負いません。

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